嵐ファンの母の話

普段アイドリッシュセブンの話ばかりしているこのブログですが、今回ばかりは三次元の話をさせてください。


嵐が2020年いっぱいで活動休止。


それはあまりにも衝撃的なニュースだった。一報が世間を駆け巡った時、私自身もショックだったし、一緒にいた友人の一人が嵐ファンだったため、勿論その子のことも心配した(後で一緒に会見見て泣いた)のだけれど、瞬間で私の脳裏をよぎったのは、母のことだった。


少し昔話をします。

私の母は、典型的な専業主婦だった。家族のために家事をこなし、私と弟の習い事の送り迎えやら何やらをし、仕事三昧の父の帰りを寝ずに待っている、とても働き者で優しい母。ちょっとばかり古風な考え方の持ち主だから、私と弟は周りの友人達よりも当時は少しだけ窮屈な思いをしたけれど、今思えばその考え方は理にかなっていたし、根拠のない縛り方はしなかった。私は母のブレない生き方が好きだし、離れて暮らす今、母の愚痴を聞いてあげられるようになった自分を誇りにすら思っている。


そんな母は、趣味らしい趣味があまりなかった。習い事をしていた時期もあるけれど、それだって私や弟が習い事をしている間にできるから、という理由で始めたもので、最優先は家族。仕事も家族に影響が出ないことが大前提で、パートや派遣を選んでいた。


けれどある日、母が唐突に言った。

「嵐のファンクラブに入ったの」

きっかけは何だったか忘れた。その一言が衝撃的すぎて。

「いつの間に!?!?」

「ついこないだ。◯◯ちゃん(私の6歳の時からの大親友)と◯◯ちゃんママとコンサート行きたくて」

母が美形好きなのは知っていたし、◯◯が母娘で嵐ファンなのも知っていた。だけどまさか自分の母親がファンクラブに入るまでに好きだとは思わなかった。聞けば、昔80年代アイドルにハマって、ファンクラブにもいくつか入っていたらしい。それでも母=嵐ファンの構図が、私の中でなかなか結びつかなかった。困惑する私に、母は言った。

「あんたも行けたら一緒に行こうね」

あの時の母の笑顔を、私は忘れないだろう。私が当時のジャニーズJrにハマって雑誌片手に母に自担の良さをプレゼンしていた時と、おそらく同じ表情をしていたと思う。母は新しい趣味を見つけたんだ。何となく、私まで嬉しかった。


その後、母は3回ほどコンサートに行った。自分が当選した時もあれば、友人が当ててくれた時もある。母に頼まれて、うちわ作りを手伝ったこともあった。母が嵐ファンになった時期は、今よりチケットも取りやすかったように思う。私の知らぬうちにワクワク学校にも参加したらしい(事後報告を受けた)。残念ながら父があまりジャニーズが好きじゃないので、私はいつもコンサート帰りの母に会うと、コソコソっと聞いた。

「楽しかった?」

母はニコニコしながら、いつもこう返してきた。

「もう最高!」

私は「いいな〜」「嵐ってやっぱりいいよね」なんて言いながら、コンサートの余韻に浸っている母が好きだった。


母はこれからも嵐ファンでい続けると思う。母が今までのグッズもCDもDVDも全て大事にしていることを、私は知っている。母が『5×10』の曲を聞いて、こっそり泣いていたのも知っている。

私自身も嵐は大好きだけど、それ以上にいち嵐ファンの娘として伝えたい。


嵐の皆さん。

母に趣味を与えてくれてありがとう。母を笑顔にしてくれてありがとう。母はたぶん、ずっとずっと、嵐のことが大好きです。


まだ一度も母とは一緒に嵐のコンサートに行けていないから、5×20コンサート、一緒に行けたらいいなあ。もし行けたら、母と一緒にうちわ振りながら叫びます。


「ありがとう!!待ってるよ!!」